『パニック障害』と『適応障害』について

パニック障害

パニック障害は不安障害の中の1つです。不安障害は最も一般的な障害の1つで、対人恐怖、広場恐怖など様々な障害や恐怖症が含まれます。

パニック症候群の特徴的な症状はパニック発作です。原因不明の激しい不安を突然感じます。誰でも体験した事があると思われる「悪夢」に襲われるような感じです。パニック発作には主に以下のような症状が現れます。

  • 心臓の動悸が激しくなる
  • 手や顔に激しい汗をかく
  • 呼吸困難
  • 漠然とした恐怖感・不安感
  • 胸の痛みや吐き気
  • 震え

パニック障害を引き起こす要因

発作が継続する時間は人それぞれです。数十分続く人もいれば、比較的短い時間で収まるが発作を幾度も繰り返す人もいます。パニック発作が収まってもこの発作は事情に痛みを伴いますので、喪失感や憂鬱を感じる人が多いことです。

一番の恐怖はこの苦しみの再発です。この恐怖感が、またパニック発作を引き起こす大きな要因となります。

「パニック発作=パニック障害」ではありません。誰でもパニック発作を起こすことはありますので、心配や誤解をしないで下さい。

パニック障害まで発展してしまう可能性のある人は以下に当てはまる人です。

  1. パニック発作について、常に不安を感じる
  2. 発作の原因について、常に心配する

1または2のことが1ヶ月以上頭から離れない、もしくは1ヶ月以内でもこの不安や心配が原因で再びパニック発作に襲われると、パニック障害にになってしまう可能性があります。

予期不安と広場恐怖

予期不安とは、文字通り、再度パニック発作を感じる事への恐怖心や発作の予兆を感じて不安になることです。

広場恐怖症とは、再度のパニック発作への不安感から人が多数いる場所や家から離れた場所へ行くことに対して恐怖感を覚え、外出困難になります。電車に乗れない、必要であるはずの病院へ行くことすら不可能な人もいます。

パニック障害の治療

最も一般的な療法は、薬物療法と精神療法の併用です。

薬物療法

SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)、抗不安薬、三環系抗うつ薬の有効性が知られています。

精神療法

外来で不安を誘発するような出来事などに対する考え方や対処法について助言や相談を行うことが一般的ですが、症状が起こりやすい認知と行動のパターンに焦点を当てる認知行動療法といわれる方法や、長期的な精神療法などを行うこともあります。

薬物療法と精神療法の効果については、それぞれの方の症状(パニック発作の程度、広場恐怖の有無)や性格などによっても異なっていますのでご相談下さい。

周囲の方の協力

ご家族や周囲の方などにパニック障害について理解し、協力していただくことが大切です。周囲に理解してもらえればストレスや不安をうまく取り除いてくれよう協力を得られやすくなります。

運動

散歩、水泳、自転車などの適度な運動も効果的です。義務的にするのではなく、楽しい運動を適度にして下さい。

適応障害

適応障害とは対社会的機能が著しく低下し、通常の社会的(学業も含む)活動が行えないなどの社会性の欠乏をみる障害です。

これらは情緒面や行動面に、ある症状を伴って現れます。症状は、はっきりとしたストレス因子によって確認でき、ストレス因子の発生から3ヶ月以内に情緒面や行動面での症状が認められるものです。

これらの症状は、ストレス因子に比べてはるかに過剰であるといえます。つまりストレスを引き起こす要因に対して、その反応があまりにも大きく、その出来事よりもショック状態のほうがはるかに大きい反応であるといえます。

症状は短期間で消失する場合と、6ヶ月以上にわたり慢性的に見られる場合があります。

適応障害の症状

適応障害には、大きく分けて「情緒的障害」と「行為の障害」があります。

情緒的障害

抑うつ気分や涙もろさ、また絶望感など『抑うつ気分を伴うもの』と『不安を伴うもの』があり、これら両者を伴うものもあります。

行為の障害

社会的規範や、規則を守ることができない。また、怠学や粗暴行為、公共性の欠如、責任の不履行などの、反社会性の行為の繰り返しなどによって認められます。例えば、学校や会社などでいえば、常習欠勤、遅刻、または問題飲酒や暴力などがあります。

また、「情緒的障害」と「行為の障害」の両方を伴うものとがあります。これらの症状以外にも、社会的な心理ストレス因子に対する不適応反応として『身体的愁訴』や『社会的な引きこもり』、または『職業または学業上の停滞』などがあります。

適応障害の治療

抑うつ気分や不安などその方の臨床症状に応じた薬物療法を行います。

精神療法

適応障害の原因となっているストレス因子を特定し、終結できるようストレスに対する対処の仕方など助言を行います。もちろん御本人への治療だけでは不十分で、職場の管理者、人事担当者や学校の担任の先生、ご家族や周囲の関係者への働きかけや協力を得ることが必要となります。

適応障害は、コミュニケーションや、自己表現が苦手な方、また理想の高い方に多いとされています。こういった方は、過度な思い込みに支配されやすい傾向にあり、ストレスに対して抵抗力が低いとされています。自己防衛のために周囲に対して過剰な反応をしてしまったり、御自分の殻に閉じこもってしまうようです。

対処法としては、物事に対する冷静な判断をすることと、円満な人間関係を形成するなど、普段から自己肯定を行うことです。また、周囲に適切な人間関係が存在しないようならば、無理な関係を求めず、自分に合った友人の出現を待つような、ゆとりを持つことも大切です。